運動好きを育てる
体育の指導でも前述(前の記事)した作文指導に通じるところがある
持久走の授業の際に思ったことである。
体育の指導では子供たちに記録を伸ばすことをモチベーションに指導していくことが多い。
持久走の指導をしているときにふと考えた。
体育科の目標は小学校指導要領(平成20年度)にこのように書いてある
第1 目標
心と体を一体としてとらえ,適切な運動の経験と健康・安全についての理解を通して,生涯にわたって運動に親しむ資質や能力の基礎を育てるとともに健康の保持増進と体力の向上を図り,楽しく明るい生活を営む態度を育てる。
この目標に今一度立ち返って考えてみた。
一番大事なのは障害にわたって運動に親しむ資質や能力の基礎を育てること。
記録やスキルをのばすことだけが運動の楽しみではない。
→
ランニングもタイムを縮めるのを楽しみにしている人もいれば
景色を楽しむ人もいる
友達とだべりながら走るのが楽しい人もいる
→
いろいろな楽しみ方を味わわせたほうがよい
具体例をあげる
持久走では無理のないペースで少しずつ5分間で走れる距離を伸ばそうという学習課題を設定していた。
友達と話しながら走らない、たらたら走らない、自分の記録が少しでも伸びるようにがんばる
など、注意をしてしまったことがある。
しかし、記録を伸ばすだけが運動の楽しみではない。
そこで、週3回の体育のうち、1回は友達とだべりながら走ってよい。途中で歩いてもよい。ただ楽しく走ってごらん。
という時間にした。
子どもたちは「えっ?本当にそんなことしちゃっていいの?」という反応
「運動にはいろいろな楽しみがあるからそれを味わって」と一言
さて、結果は
「走るって楽しいんだね!」「今まで5分が長いなと感じていたけど、あっという間に感じた!」
などなど、持久走と聞くだけで嫌な顔をしていた子も心地よい運動後の表情をしていた。
つまるところ、自分の今まで受けてきた教育に縛られずに
本来の目的や固定観念を破り、教科の本質や人を育てることについて常に考えていかなければと思ったできごとであった。
今では子どもたちは持久走が大好きである。
Aiboを学校で飼う時代も近いのでは
動物を飼っている学校は減少している。
病気、アレルギー、ケガ、など様々な要因がある。
実際に子どもたちが動物と触れ合う機会は減らさざるおえない現状がある。
飼っている学校はうさぎやくじゃく、にわとりなどが多い。
子どもの成長にとっても生き物を育てたり、ふれたりすることは意義のあるものである。
しかし、リスクも高い。
そこで、逆に飼育委員でAiboを飼ってみるのもおもしろいのではないかと思った。
最新のテクノロジーに幼少のころから触れるのはとても刺激になると思う。
本体、Sim契約、アクセサリーなど含めると35万ほどのようだ。
高価なもので経済的に余裕のある家庭でしか触れ合えない。
なかなかの金額だが、それに見合った刺激を子どもに与えられると思う。
教育格差が問題になっている今、公教育でそういった刺激を
子どもに与えることの意義も議論するとよいのではないだろうか。
一つの選択肢に入れることを提案したい。
お楽しみ会でアクティブラーニング
お楽しみ会を学期末に行うクラスが多いと思う
お楽しみ会こそ主体的・対話的で深い学びができる
とるのであれば思い切って4時間、最低2時間とるとよいと思う。
ちょこちょこレクの時間をとるなら、その時間は学習に回し、どかんと時間を確保してあげるのだ
普段は厳しく、授業をきちんとする先生が学期末になると
「普段がんばっているから、今回は午前中全部お楽しみ会につかっていいぞ」
と言ってくれたら、メリハリがついてよい。太っ腹なリーダーが子どもたちは大好きだ。
また、1時間単位での計画だと、レクをして、出し物をして、など毎回に通ったものになってしまう。
もっと豪快に物事を考えられる子に育ってほしい。
4時間もあるといろいろなことができすぎて逆に悩むし、意見の調整力もつく
□過去はこんなことをやった□
〇お祭りをやりたい・・・屋台パーティー
〇みんなで歌を歌いたい・・・体育館を貸し切っての紅白歌合戦
〇逆に勉強したい・・・各自自分の得意分野で5分間の授業←遊びあきたのであろうか
□企画の話し合いのポイント□
〇めあてとテーマを最初に設定させる
〇話し合い中のポイント(司会は子ども、話し合いの視点はところどころきちんと介入する)
1.まずは思いついたことを自由に出す(決して否定はしない)
2.子どもの思考が枠にとらわれていたらそれを外す
3.意見を絞る際は出た意見を消していくのではなく、出た意見で「これがいい!」というのを話し合う
※1「○○は反対です。わけは・・・」は言わないルールをつくる
※2初めのころは 「めあてにそったものか」という視点を与える
4.「これがいい!」という意見がでなかったものは選択肢から外す
※3反対意見で消されるわけでないから、雰囲気もよい
5.多数決ではなく、「これがいい!」という意見が一番出たものが第一候補。ここで反論を聞く
6.多数決になった場合は一番「納得」した意見を選ぶ。
※4いいと思うものではなく、納得したものというのがポイントである
7.各プログラムで責任者をしっかり決める
8.詳細を全員で話し合うのは時間がかかるし、意見がまるくなるので、責任者が後日提案
お楽しみ会の企画・運営こそ主体的・対話的で深い学びのチャンス。
ただレクをして終わるのではもったいない
指示を明確にするということ
3月20日は全国の小学校で卒業式が行われた。
卒業生、保護者をはじめ関係のみな様、おめでとうございます。
先輩教諭の卒業式練習の指導がとても指示が明確でよい時間だったので記述する。
卒業式練習にて(T:教師 C:児童)
T:全員起立。呼びかけの練習をします
Tがんばります
さんはい
Cがんばります
Tいい声ですね、80点です
短く切ります
Tがんばります
Cがんばります
T語尾がきれましたね
素晴らしい!95点です
Cえーっ!?
Tあとは全員そろうことです。
がんばります
Cがんばります
T素晴らしい、100点です
では呼びかけをスタートしましょう。
この指導のポイント
1全員が声を出す所からスタートしたところ
2ポイントを明確にして一つ一つ身につかせたこと
3だらだら説明せず、活動から学ばせたこと。一時に一事の原則
呼びかけ担当をする児童の数人が語尾がどうしてものびてしまっていた。全員共通の課題として実感させ、全員がよくなった。全体を動かす指導技術が大変勉強になった。
卒業式練習はただでさえ長い。このようにテンポよくポイントがわかれば苦にならないと思った。
子供のプレッシャーを減らすということ
音読発表、歌の発表など表現する学習活動の時、発表の仕方を子供に選ばせると良い。
1.一人で前にでて行う
2.自席で立って行う
3.座って行う
4.友達とグループで行う
学習の目的によるが、基本的に発表が苦手な子を追い込むことはやめたほうがよい。その教科をそのことが理由で嫌いになってしまう。度胸をつけるという学習の目的であれば十分そのがんばる意義をやらせるべきだが。
こちらが思っている以上に負担になっている学習活動がある。わかった上で効果的に負荷をかけることは良いのだが、知らず知らずにやりすぎてはいけないと思う。
一つ上の視点をもつこと
一時的な楽さを与えることでその子のためにならないことがあり、
あえて厳しくすることが必要なことがある
例えば、授業の課題が早く終わった子がいる。授業時間はまだある。
子どもから何をするか聞かれたらなんと指示を出すだろうか。
自分の課題が終わったら静かに読書をして過ごす。お絵かきとかでもよい。
という指示を出している同僚がいた。それに関してどう思うだろうか。
もちろん授業展開を工夫して、そのような場面を作らない授業もできる。
また、子ども自身を指示待ちにならないように育てることもできる。
が、それはそれで、よく起こる場面という前提で話を進める
早く終わったら好きにしてよいのは子どもは嬉しいし、自由にさせてくれる先生に好意をもつかもしれない。
しかし、よくない面が2つある。
1つは好きにしたいがためにさっさと課題を終わらせようと雑にやる子が増えることである。
学習が目的ではなく、早く終わらせることが目的にすり替わってしまう。
2つめは後でよくないと気づいても一度楽なことを覚えてしまうとなかなか戻れないということである。
子どもの視点ではそれはわからないし、それが学習にどう影響するかも本人はわからない。
長期的に見れば、そのような勉強の仕方では学習の定着率が下がるのは明らかである。
理解ある先生になろうとして、子どもの要求をすぐ受けてしまわないように気をつける必要がある。
子どもの目線も理解しつつ、育てるプロとしての視点で様々な判断ができるようにしていくことが教師にとって必須条件。
自分が上司や教授する立場なら(もちろん教わることのほうが多いが)育成する対象よりも高い視点で
自分が部下や教わる立場なら自分の価値判断だけを信じずに、上司の目線でその指示や考え方を捉えるとよいのではなかろうか。
読書記録 「成功する子 失敗する子(ポールタフ著)」
成功する子 失敗する子
何がその後の人生をきめるのか
ポール・タフ著 高山真由美 訳
幼少期にどのように学んだかよりも
どんな気質が育ったかが重要
心を育てることが実は成長するために大切な一番のポイントではないかという意見
〇貧困と教育格差
・貧困事態が格差を生むというよりも、幼少期に受けたストレスが影響しているという見方もある。
・ラットの実験からは、親に毛づくろいをしてもらってきた子ラットのストレス耐性が高いという実験結果が出た
人間に関してはエヴァンズとブレアの研究からジェンガをやっているときに助言をしたり、気遣いを示したりというごく普通の
適切な親のかかわり方が子どもの将来に大きく影響するという事実が考察できる
・愛着理論(アタッチメント)、幼少期のわがままに付き合うなど、親からのあたたっく敏感なケアは、子どもが外の世界に出ていけるための「安全基地」となると考えられる。甘やかすことも必要。そして受けてこなくても後の環境で変えられる可能性もある。
〇何が気質を育てるか
・飛び級をした子どものその後を追うと、中退率が多い。一つの見方として、IQ以上に気質が大事であるということ
・その気質として「楽観主義(いくらでもなれる)」が挙げられる
参考図書として「オプティミストはなぜ成功するか」がある
・ADHDの人がチェスに才能を発揮。注意力に問題を抱える人の多くは強烈な体験や深い刺激を切望している。それがチェスだった。裏を返せばADHDは注意欠陥ではなく、強烈な体験や深い刺激を切望しているだけであるととらえることができる。
示唆に富む内容であった。実際に行うのは容易ではないが念頭にいれたい。