教育研究家の日記

教育研究家による備忘録

考え 議論する道徳

道徳が特別の教科となり、考え議論する道徳を目指している。

 従来の「このときの○○の気持ちは?」という発問を連発する授業からの脱却である。

 

〇教材

真海のチャレンジ~「わたしたちの道徳」5,6年~

 

〇あらすじ

  骨肉腫の発症により、手術で右足を失った主人公の佐藤真海さんが、水泳でリハビリをしながら走り幅跳びでのパラリンピック出場を目指し た実話である。

〇展開
 ①平昌オリンピックの話題
 ②資料の範読
 ③感想の記述
 ④「限界にふたをしない」という言葉について話し合い
 ⑤自分への振り返り

〇授業の実際
 ①平昌オリンピック
  オリンピックの話題からパラリンピックの話になった。パラリンピックのことはよく知らない児童が多かった。
 ②資料の範読
  義足、骨肉腫についての補足。よりイメージがわくように。「痛くないの?」などの質問も出たが、「読んでいくとわかるよ」ということで読み進める。途中幅跳びの件のところでちょうど体育で扱っていたのでそのすごさを実感していた。
 ③感想の記述
  「あきらめないですごい」、「次々と目標をたてていてすごい」など。ねらいとする価値がしぼられてきた。
 ④「限界のふたを外す」という言葉について話し合い
  「限界のふたを外す」という言葉から何をイメージする?と発問
  5人の児童が黒板に図示してくれた。

 

 そう図示した理由を問うと
 ふたをあけるともっと入るや、ふたをどんどん広げていくイメージなど各自の受け止めの違いがよくわかった。
 自分がイメージした図はどの考えに近いか全員で挙手して確かめ、
 話し合いをしていった。
 途中で深める発問「ふたは誰がするんだろう?」
 「自分自身」、「努力とかあきらめない気持ちとかで」と子どもたち
 「努力とかあきらめな気持ちってみんな少なからずあるよね、でも続かなくない?」と問い返し発問
 「確かに、いきなり高い目標だったらふたしちゃう」
 「真海選手は最初は泳ぐこと、次はゆっくりでも走ること、だんだん次の目標をたててたよ」
 話し合いの中で
 限界は自分で決めているということ、少しずつ目標を設定していくことの良さについて深まっていった。

 ⑤自分への振り返り
 自分で限界にふたをしてしまったこと、ふたを外した体験を問う。マラソンや勉強のことなど、それぞれの経験に合わせて考えていた。

〇実践をふりかえって
 ・イメージを図示させるという手法は話し合いを深めるのによい。なぜその図にしたか理由が生じるので考え議論できる。
 ・子どもたちが黒板に自由にかける授業というのはやはり楽しい。予想外の考えを出るからこそ考え議論できる。
 ・「限界のふたを外す」という言葉一本にしぼったことによって話が焦点化した。